タリスカー

みんな大好きタリスカーですが、実際タリスカー蒸留所はどんな場所でどんな環境で、またどんな製法で作られているのかは知らない方も多いと思います。

本記事では初心者の方でもわかりやすいように簡単に要点をまとめて解説したいと思います。

タリスカー蒸留所はスカイ島にある蒸留所

まずスコッチにはスペイサイド、ハイランド、ローランド、アイランズ、アイラ、キャンベルタウンという蒸留所の場所で分類されている地域ではアイランズに位置します。

アイランズはスコットランド本土の周りにある島々にある蒸留所をまとめて地域にしていますが、アイラ島のみアイラという地域に分かれています。

そしてアイランズの中の『スカイ島』に蒸留所はあり、スカイ島にはタリスカー蒸留所とトルベイグ蒸留所があります。

スカイ島の環境

インナーヘブリティーズ諸島で最大の島『スカイ島』。スカイの名前は古代ノース語で「翼の形をした島」なのだそうです。確かにMAPを見ると翼を大きく広げているように見えなくもないですね。

タリスカー蒸留所は北緯57度に建っていて、札幌市が北緯43度という事で随分寒そうな印象を受けますが、メキシコ湾流の影響で冬でも気温はさほど下がらず、雪が降るのも稀だそうで過ごしやすい気候なのかもしれません。

しかし天候においては非常に気まぐれで「霧の島」とも呼ばれるほど濃霧に覆われる日が多いそうです。

冬場に荒れる外海の大波が岩肌に打ち付けられる環境から、タリスカーは力強い海のシングルモルトのイメージが定着していますね。

タリスカーの製法

タリスカーが出来上がるためにどのような製法でや材料で作られているのかを簡単にご紹介します。

仕込み水

タリスカー蒸留所があるスカイ島では非常に雨が多く、岩石質の地層を通って雨水が海に流れ込んでいます。この豊富な自然の雨水から生まれる湧き水を仕込み水としてホークヒルから取水しています。

ピート(泥炭)

タリスカーの風味の中にピートスモークがあります。このピートというのはスコットランドの土壌にはピート(泥炭)と呼ばれる層が広がっていて、モルトを乾燥させる時にこのピートを燃やして感想させるため、モルトにピートの香りやスモークがつきます。

そしてスコットランドの海岸沿いのピートにはわかめなどの海藻も含まれていて、この香りがアイラ島のシングルモルトでよく言われるヨウ素のような香りとなってウイスキーに反映されます。

スカイ島のピートにも海藻が入っているためピート香とスモーキーさや潮っ気がふわっと香るウイスキーになっています。

タリスカーの製法

タリスカーは他のスコッチウイスキー同様に

  1. 発芽・乾燥
  2. 製粉
  3. 糖化
  4. 発酵
  5. 蒸留
  6. 熟成

といった工程を経て瓶詰めされ私達が買える状態になっています。

①発芽・乾燥

大麦を約3日水に漬け発芽を促します。発芽したモルトを乾燥させるためピートを燃やします。この工程では乾燥させるだけでなく発芽を止める効果もあります。

②製粉

①で乾燥させたモルトを粉砕機に入れて粉状にします。

③糖化

マッシュタンと呼ばれる麦汁を造る槽に製粉したモルトを入れ、70度の水を加えて、溶け出したデンプンを糖分に分解し甘い麦汁を作ります。

④発酵

③で造った麦汁をろ過しウォッシュバック(発酵槽)へと移します。発酵槽では酵母を加え2〜3日発酵を促します。

⑤蒸留

④で発酵を終えた麦汁を銅製のポットスチル(単式蒸留器)に入れ2回蒸留します。2基のポットスチルで蒸留され初溜め釜で蒸留後、再溜釜でさらに蒸留を行います。

ここで蒸留された原酒の真ん中のバランスの取れた原酒をしようし、カットされたものは再溜釜にもう一度入れられます。

⑥熟成

タリスカーを造るための大きな工程の最後は、蒸留した原酒を樽に詰め長い年月を熟成期間にします。

そして熟成のピークを迎えた原酒を厳選し組み合わせる事で今日の私達が飲んでいるタリスカーが出来上がります。

シングルモルトは一つの樽のウイスキーを瓶詰めするのではなく、同じ蒸留所の原酒を使って様々な樽で熟成した原酒をヴァッティングしたもので、一つの樽からの原酒で瓶詰めされたものはシングルカスクと呼ばれます。

ついでに違う蒸留所の原酒や同一蒸留所でもモルト原酒意外と混ぜ合わせたものはブレンデッドウイスキーと呼ばれます。

まとめ

このようにしてボトリングして出来たウイスキーを飲んでいるわけですが、当然熟成した原酒を飲んでみるまではどのような味わいになっているのかはわかりません。

バーボン樽やシェリー樽、ワイン樽と様々な樽で熟成した原酒を混ぜ合わせる事で今日私達が飲んでいるタリスカーは出来上がっています。

それなのに何故近い味わいで提供できるのかというのは、ひとえにブレンダーの技術の素晴らしさではないでしょうか。

しかし全く同じ味わいというのは当然不可能な話だから、味わいが若干変わるきっかけとして『ラベルチェンジ』などがありますね。

タリスカー蒸留所に関わる全ての方々のおかげで、今日も美味しいタリスカーが楽しめる事を感謝しなくてはいけませんね。

ではまた!